資産承継のためのわかりやすい信託活用術

はしがき

「信託をうまく使った相続対策って何かあるんですか?
最近このような質問をよく聞くようになりました。

新しい信託法は平成 18 年 12 月に国会で成立し、平成 19 年 9 月に施行されま
した。成立から 6 年ほど経過しようとしている昨今、ょうやく信託に関する法務・ 税務からの整備が進んできているようです。

そんな中、新聞・雑誌等でも信託が取り上げられるようになり、急速に信託を 活用した相続対策が注目を浴びてきています。とくに、高齢化が進んだ現代社会 において、資産承継や事業承継の分野において非常に使い勝手のよいものとされ ています。

「将来、認知症や寝たきりになったときのために信託を活用したい」「私の次の 次の世代まで、財産の行き先を決めておきたい」、「事業承継をしたいが、議決権 だけはまだ息子に渡したくない」と、このようなご相談はまさに典型的なケース です。これらのことは、いままでの贈与や遺言ではできなかったことです。しかし、 信託を活用することによって不可能が可能になりました。

本書では、このように急速に広まりつつある信託の法務と税務についてわかり やすく解説したつもりで作成しております。整備が進んできているとはいえま だこれからの判例等によって取扱いがますますはっきりしてくるところもありま す。実行する際はぜひ我々専門家にご相談ください。

「 30 年後のあなたに幸あれリこの 30 年という意味は本書をお読みいただけれ ばわかるはずです。皆様に少しでもお役に立てていただければ幸いに存じます。

平成 25 年 1 月 吉 日 辻・本郷税理士法人

目次

第1章信託の基礎
信託とはどのような制度ですか?
信託の基本的な仕組みを教えてください。
信託された財産は誰のものになるのでしょうか?
信託の倒産隔離機能とはなんですか?
民事信託とは何ですか?信託銀行の貸付信託や投資信託はよく聞くのですが。
信託を組む場合に考慮すべきポイン卜はなんでしょうか?
受益者がいない信託
受益者に通知し芯い信託

第2章信託(税務一般)
信託における税法上の基本的な考え方について教えてください。
受益権の評価
不動産の信託による登録免許税・不動産取得税の軽減
国信託に関する消費税の課税関係

第3章信託(贈与事例)
信託によって生前贈与のデメリット
自己信託の活用法について教えてください。

第4章信託(事業承継)
議決権を残したまま自社株を承継させることはできますか?
自社株の受託者たる「信頼できる者」とは?
自社株につき我が社は株券を発行していません。 それでも信託できますか?
未配当会社株式の受益権は贈与として認められるか?

第5章信託(財産管理)
生前のうちに、財産の管理を子供に託すこともできますか?
盟委託者が信託後に認知症になった場合

第6章信託(遺言信託関連)
「遺言信託」と「遺言代用信託」とはどう違うのですか?
遺言の代用として信託を活用することができますか?
遺言代用信託はどのように活用されるのでしょうか?
受益者連続型信託における遺留分の問題
私の財産を妻の兄弟姉妹にいかないためには?

第7章信託(不動産関連)
優良な賃貸不動産から共同相続人が収益を享受するには?
受益権を分割して相続することはできるか?
負担付贈与の問題
損益通算の問題
信託財産を譲渡した場合の課税関係
信託が終了した後の信託財産の譲渡所得
受益権の権利内容の分離